○永井一郎氏、改めて御冥福をお祈りします。
永井一郎氏が1/27に他界されて、一月が過ぎようとしている。
何と言っても、サザエさんと言う国民的作品での偉大なる長期レギュラーだったため、波平さんの後任が誰になるのか?と言う事を含めて大騒ぎだった。
幸い、後任の茶風林氏も目暮警部など、存在感のあるおじさん声には定評のある人で、しっかりと彼なりの波平を演じてくれている。奇をてらう事も無く、良い人選をしたと思う。フジテレビにしては久々のヒットかな。
プレッシャーはあるだろうが、頑張って欲しい
。
○何故か藤子アニメには縁が薄かった
…と、偉そうに書いてみたのだが、実は私は、少年時代(80年代)には永井一郎氏の演じたキャラには、余り縁がなく、まるで印象になかった
。
なんとなれば、当時は藤子アニメの全盛期であり、永井一郎氏は80年代の藤子アニメのレギュラーには縁が無かったからだ。学習誌を毎月購入し、その作品の熱いファンになってた私には、縁が無いままだったのだ。
まあ、よく考えればこれはやむを得ないだろう、藤子アニメの主人公と周囲は、ほとんどが小学生とその親だ、永井一郎氏の得意とする、年配の男性のレギュラーは少なく、印象が無いのも仕方なかったのだ。
○80年代後半から一気に存在感が
波平を除くと、私が永井一郎氏の存在を意識した役は、ゲゲゲの鬼太郎(3期)の『児泣きじじい』だった。そこから、カリン様(DB)、猪熊滋悟郎(YAWARA!)、八宝斎(らんま1/2)と、有名で、しかも波平とは全く真逆のコミカルイメージの役がいくつも来て、声優さんの演技の幅の広さに驚くやら、笑えるやらした記憶が凄く強い
。声優って凄いものだなあと認識させてくれた一人と言って良かった。同様の人は多いのでは無いだろうか?
そして、00年代以降は、ダンブルドア校長(ハリー・ポッター)で、これまた渋い重鎮を演じてくれた。この役はいわゆる波平イメージの役で、ハマリ具合は絶妙だったと思う。
○後任は大変だが、やり甲斐を感じて欲しい
ところで、不謹慎を承知で笑ってしまったのが、大物声優が死去すると、必ず『誰も後任をやりたがらない』なんて声がネット上であがる事かな。
実際に後任が決まるまで、他の声を想像付かない程の当たり役だったと言う事だろうが、『誰もやりたがらない』と言うのはあり得ないよ
。
故・田の中勇氏は、『自分の今の仕事のほとんどは目玉おやじ関連で、目玉おやじに食わせてもらってる様なもの。この役をしてなかったらとっくに引退してたよ。』…と苦笑していた
。
この位に有名で息の長い役ともなると、そこに関連するビジネスも膨大で、食いっぱぐれも無い。プレッシャーはあるけど、上手く自分の役に出来れば、安定収入は保証された様なものだ。
目玉おやじも、3期以降は毎回、大勢の声優がオーディションしていたが、結局、田の中氏に毎回落ち着いたそうだ。怖さはあっても、プロの声優が誰も引き受けないなどと言う事はあり得ず、心配無用と断言できる。
茶風林氏も、大変だろうが、やり甲斐を感じて頑張って欲しい
。
○俳優→声優の道すじも強化していくべき
ただ、年配の役を演じられる声優が昔から変わっておらず、人材不足と言う心配はある。
60年代頃のアニメ黎明期の声優は、俳優を目指したが、それよりも結果的に声優の仕事の方が主軸になったと言う、いわゆる俳優崩れの人が多かった。
時代的にも、今ほどアンチエイジングが進んでおらず、中年になると一気に老ける人がほとんどだったので、俳優崩れの声優は、年相応に年配の役が当たり役になれていたと思う
。
現在の場合、声優養成所に通い、若々しい主役の少年/青年役が当たり役の男性声優ばかりが増えてしまっている。しかもアンチエイジングが進んでて、彼らが年配役に移行していかずに、人材不足が起きているワケだ。
この辺、昔ながらの、俳優→声優への道すじも、決して閉ざしてはいけないと言う事じゃ無いかという気がする。
永井一郎氏自身、声優のギャラの少なさに関する著作を出していたけど、レッスン環境や仕事の確保、報酬などを整備して、渋い年配役を演じられる声優の育成にも着手が必要だろう。
この辺、永井氏がアニメ・声優業界に残していった宿題だろうなと思う
。
ともあれ、永井一郎さん、お疲れ様でした。あなたの演じたキャラと声は一生忘れません。御冥福をお祈りいたします
。